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宗教は２種類に大別できるそうだ。
自分の外に信仰対象を置くものと、自分の内側に置くもの。
「禅」はまさに後者の代表と言える。

「自分の中に仏の心はある。だが雑念や様々な心の曇りで隠れているだけ」
と禅では言う。基本、人間はみな仏になれるのだと。
その「仏心」を発現させる為の方法が「禅」の教えなのだ。

ちなみに自分は宗教には全く興味ない。
ただ、宗教というのは大枠で捉えると大体が楽になる、幸せになる方法を各々の理論
で唱えていると思う。つまり根本はほぼ一緒な気がする。
だが幸せになる為に何かを信仰したりする気も毛頭ないし、行動を制限される気もない。
突然与えられた崇拝対象（=神仏）を信じろ、と言われても自分はムリだ。

だが禅は、その自分の中に存在する「仏心」を呼び起こす事を目的としている。
自分の中にあるから、人からは方法も教われない。
つまりある種の”自分への挑戦”である。
そしてその挑戦には何もいらない。虎の巻も高価な壷も上納金も何も。
今までの様々な心についた曇り（価値観や認識）を取り去り、水鏡の様な心を取り戻し、
「今」という瞬間瞬間に精一杯生きる。
その曇りを取る方法が坐禅であったりする。それだけだ。
この必要最低限さ、そして自分の可能性を引き出すというか、その感じが当時の自分
に”宗教”という枠を超えてジャストフィットしたのだろう。


昨日、知り合いの方のお見舞いに行った。
免疫系の難病にかかったらしく、10万人に数人のものらしい。
現在、根本治療薬もまだない状態で症状を止める対処療法しかない。つまり一生
付き合う病気になってしまった。
三ヶ月の入院生活をもうすぐ終えるそのタイミングで見舞いに行ったのだが、入院
当初は物凄い鬱状態に陥ったそうだ。二人の娘さんを持つ父でもあるしまだまだ
死ねないのに、これからどうなってしまうのだろう・・・と。
自分も思わず「そんなのあたりまえですよ！！」と言ってしまった。

もし自分が同じ立場になったらどうだろうか？？
ホンキで考えてしまった。鬱になる気持ちもわかる。聞いてるだけで胸が痛いような気分。
”禅”などと言ってられるのだろうか？？？

７/5号の雑誌「サライ」に禅特集が組まれていた。
そこの中に御歳75歳のとある臨済宗の禅僧のインタビュー記事があった。

「生・老・病・死」という人生の四苦は誰もが避けて通れないもの。
ある日突然、愛する人を失ったり、自分の余命宣告を受けたりして命のはかなさ
に打ちのめされる。その心が、悟り（仏心）を求める原動力になる。
自分とは、命とは何か。そしてやがて、大いなるものに抱かれ、自分がここに
生かされている事に気づく。”私が生きている”から”ご縁とお陰に支えられて
生かされている”路線にUターンする。この悟りの体験を「回心（えしん）」と言います。
即ち”命の有り難さに感動して生きる”。これこそ仏教の教えだと申し上げていい。

苦しみが、生きる喜びを教えてくれる。
自分の力が微々たるものである事を知り、大いなるものに命を委ねた時に本当の”安心”
が得られるのだと。

仏心、それは死ぬ寸前によく現れるという「走馬灯」のようなものなのだろうか？
確かに死と向き合ってる人や大病を煩った人には、無欲でボランティア活動に
いそしんでる方や世の為に動かれてる方等、仏心の片鱗を伺わせるような人がいる。
そして一つ言えるのは、残念だがまだ「仏心」には自分はほど遠そう、という事だけだ。

”仏心”さがしに終わりはない・・・